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北斗星(6月4日付)
 山の幸が豊富な季節。痛ましい遭難事故が続いているのは残念だが、山菜採りは豊かな自然を味わえるレジャーだろう。山の空気はあきらめて、農産物直売所でミズとワラビを購入。最近知ったミズたたきの手軽な作り方を試してみることにした

▼皮をむき、ゆでたミズを、みそ、ショウガと一緒にミキサーへ。しかし出来上がったのは歯応えのないペースト。時間の加減を誤ったのかもしれない。それでもよく冷やしてガラスの器に盛って食べると、たたきとは別物ながら悪くない味だった

▼ワラビはおひたしにした。旬の失われた野菜と違って、山菜は時季を逃すとなかなか口にできない。栄養豊富とは聞かないが、食べると体が浄化されるような気がする

▼味わいながら、「史記」列伝の伯夷(はくい)と叔斉(しゅくせい)の故事を思った。先王の喪が明けぬうちに君主との戦を始めようとした周の武王をいさめ、聞き入れられないと隠者になった兄弟だ。山でワラビなどを食べて暮らしていたがやがて餓死した

▼政局など慎むべき非常時に、不信任案提出という政争が起こった。「辞めろ」「辞めぬ」どちらも国民のためだという。しかし国民からは「今はそんな場合か」という声が湧き起こる。一夜明けた参院予算委では何事もなかったかのような表情の菅首相にやじが飛んだ

▼故事成語「耳を洗う」は世俗の汚れたことを聞いてしまった耳を洗い清めること。永田町で飛び交った不毛な言葉のやりとりに傾けたわが耳もどうにかしたい心境だ。

(2011/06/04 09:41 更新)
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2011.06.04 Sat l メディアリテラシー l top