上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top
http://www.at-s.com/news/detail/100024239.html

4月29日(金)(4/29 07:22)

 20年近く前に訪れた英国で、印象深かったのは夜の街が暗く感じたことだった。商店街に派手な電飾はほとんど見あたらず、街灯も周囲を明るく照らすというより、ランプのようなぼうっとした明るさだった。最初は驚いたが、なじむのも早かった

▼英国各地に1週間ほど滞在したが、夜の闇と、それを壊さないようにほどよく抑制を利かせた明かりの調和がすっかり気に入ってしまった。谷崎潤一郎の「陰翳[いんえい]礼讃」(中公文庫)には、パリ帰りの人の話として、欧州の都市に比べ、東京や大阪の夜は格段に明るい、恐らく世界中で電灯をぜいたくに使っている国は、米国と日本だろう、というくだりがある

▼この話はずっと以前の時代のことだが、「夜を明るく」という流れは今も変わらないだろう。むしろ加速している。どの街も色とりどりの電飾やライトアップで、パッと花が咲いたようだ。明かりは消費を刺激する豊かさや安全安心の象徴として繁華街はもちろん、郊外でも夜の闇をこうこうと照らし続けている

▼しかし、谷崎は「陰翳礼讃」で、もともと日本人は陰翳の中に美を発見してきたとし、陰翳の濃淡を巧みに表現している日本座敷の美を名文でつづっている。子どもの頃、夜道で月明かりに映し出された自分の影を見るのが何だか不思議だった。陰翳は想像力をかきたてるのかもしれない

▼東日本大震災の影響で電力の供給不足が懸念されるとして、政府は企業や家庭に節電を求めている。夜の明かりがはんらんする中で、今は美しい星空を見る場所さえ少なくなっている

▼光害という言葉も聞くようになった。家の明かりを少しばかり暗くするのもいい。たまには陰翳の美を考えてみたい。



関連記事
スポンサーサイト
2011.04.29 Fri l メディアリテラシー l top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。