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正平調
2011/08/10
「白い花火が上がった」。東日本大震災の被災地、宮城県石巻市でそんな言葉を耳にした。純白の花が夜空に咲いたという。安らかで静かな光景を想像する。人々はどんな思いでその花を見上げたのだろう◆江戸時代の河川工事を記念する恒例の「川開き祭り」が先日、行われた。復興の願いを込めた今年の祭りには、中越地震で被災した長岡市からある花火が贈られた。かつて新潟の夜を鎮魂の白い花で彩ったという、特製の花火である◆人口約16万人の石巻市は宮城県第2の都市だ。古くから商業港や漁港として栄えた。市民の多くが水産関係の仕事に関わる。中でも屋根の長さが650メートルもある日本最大規模の魚市場は、地元の誇りだった◆今、その場所に立つと、市場の屋根はほとんど跡形もない。地盤は沈下し、コンクリートの建物はどれも廃虚だ。住宅は土台を残すのみである。人々の生活も息づかいも、津波が全てを奪い去った◆死者・行方不明者は4千人。40人に1人が犠牲になった計算だ。市はまだ見つからない人の死亡届も受け付けている。だが届けをためらう家族がいる。「島にでも流れ着いていないか」。一縷(いちる)の望みであっても持ち続けたい。そんな心情からだという◆色鮮やかな花火の後、その花火は打ち上げられた。墨絵のような場面が広がった。もう会えない。また会いたい。一人一人の思いを受けて、白い花は夏の夜空に一晩だけ咲いた。

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2011.08.10 Wed l メディアリテラシー l top
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