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 夏休みだからだろう。親子で過ごせる催しが目立つ。長岡市の県立近代美術館で開かれている「いわさきちひろ展」もその一つだ。ちひろが描く子どもの黒目がちな瞳は、多くの人の心をつかんで離さない。だが、最も印象深い作品は、と問われれば、絵本「赤い蝋燭(ろうそく)と人魚」の冒頭に、見開きで描かれた日本海を挙げたい
▼墨一色で描かれた雲と冬の海。この絵が持つ不思議な力を伝えるのはなかなか難しい。ただ、荒々しい海の情景が伝えるものと、静かな「ちひろの瞳」が、深いところでつながっているのは確かだ。どちらにも秘められた強い意志を感じる
▼ちひろは福井県に生まれた。絵本の原作者、小川未明のふるさとに近い直江津の海を、風の強い初冬に訪ねている。重い病を押しての旅だった。悲話の主人公に自身を投影させた。彼女が見た最後の海だったに違いない。これが遺作となった
▼ちひろは共産党員だった。未明は社会主義運動草創期の活動家である。悲しい結末となる人魚の物語には、虐げられた人々に寄り添っていきたいという2人の原点を感じる
▼同じ福井県の海辺に育った作家水上勉は、未明全集の解説に「その風土的世界に強くひかれ、文芸の道へ導かれた」と書いた。「越後つついし親不知」など、この地に材を取った切ない物語を著した。日本海側の風土が結ぶ3人の縁である
▼美術館に展示される原画の前に立つ。風土、人、悲しみ、再生-。列島を揺さぶる大災害に遭遇して、さまざまなことを思うこの夏、ことさら心に響く一枚だ。
新潟日報2011年8月3日
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2011.08.03 Wed l メディアリテラシー l top
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